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SOLPOWER 社製ロータリーテーブルを支えるエンコーダ RESOLUTE™

加工技術の発展やより高品質な製品への需要を背景に、工作機械メーカーは、切削スピードの高速化や高精度金型の生産などの分野での要求に対応する一方で、原材料価格の高騰に対処する技術の開発に迫られています。

1995 年設立の SOLPOWER 社は、ダイレクトドライブ (DD) ロータリーテーブルや一体型主軸モータ、リニアモータなどの工作機械の構成品を手がける台湾のメーカーで、これまで精密加工産業向けに高性能 DD ロータリテーブルを数多く開発しており、それらローターリテーブルが効率や生産量を大幅に改善してきました。レニショーのアブソリュート光学式エンコーダ RESOLUTE は、幅広い種類の産業用シリアルプロトコルに対応しており、DD 機構の高性能フィードバック制御を実現します。

DD ロータリーテーブルでは、従来的なウォーム駆動ステージなどで必要であった機械的な連結機構が不要です。ギヤレスロータリーテーブルのメリットとしては、高速化 (rev/min)、応答性の向上、ゼロバックラッシュ、ノイズの低減さらには省スペースなどがあり、こういったメリットは、エンドユーザーにおける加工時間やコストの総体的な低減に繋がります。

SOLPOWER 社のチームグループ

課題

近年の加工技術を強化する動きに伴い、従来的な 3 軸機に、4/5 軸目としてロータリーテーブルを後付けする状況が多くの工場で起きています。SOLPOWER 社の General Manager、Bergan Peng 氏はロータリーテーブル市場を下記のように見立てています。

「DD ロータリーテーブルは、一般的には 200rev/min で動作する低速主軸一体型モータのようなものです。工作機械産業で成功を収めるには、製造コストをコントロールすることが極めて重要です。弊社にはメカトロニクス分野に豊かな経験があり、信頼できる台湾のメーカーに外注している部分もあるものの、必要な巻線形回転子などの部品は内製しています。弊社のロータリーテーブルは 24 時間体制の加工オペレーションに採用されていることが多く、弊社はこの分野において信頼のおけるブランドです。」

モーションコントロールに付随する誤差には多種多様な原因があり、一般的には、機械部品、トランスミッションや位置フィードバックシステム(エンコーダ)が主な原因で発生します。エンコーダの誤差という点では、スケールの精度等級、内挿分割誤差、インストール時の誤差、信号のジッタ(ノイズ)などのキーとなる要素があります。

これらすべてがシステムに直接的に影響し、一般的にエンコーダのスケールピッチが小さくなると、内挿周期誤差が改善します。エンコーダの誤差を低減すると、位置決め制御の向上および速度リップルの低減という正味の影響が得られ、これにより、よりスムーズな速度制御が可能で高い分解能を持った DD ロータリーシステムが実現できます。スムーズな速度制御と高い分解能は、間違いなく、高精度アプリケーションに使用する工作機械用ロータリーテーブルにとって重要な要素です。RESOLUTE は、30 ミクロンのファインピッチスケールに対応し、周期誤差 40nm 未満とジッタ 10nm RMS を実現します。これらの仕様にも加え、取付公差も広く、各種の先進的なスケールに対応していることもあり、同等の優れた性能を持つアブソリュートエンコーダは市場にほとんどありません。

エンコーダの誤差は、繰り返し(非蓄積)誤差または周期誤差と、外乱に起因するものとに分けられます。密閉式のエンコーダの場合、ベアリングのバックラッシュ、機械的なヒステリシス、および剛性の不足に起因するねじれ運動が大きな原因となり、周期誤差が悪化します。このような場合、エラー補正を行っても、ノイズ成分があるため効果は制限されます。一方でオープンタイプの場合は、スケールとリードヘッドが非接触なため、精密ロータリーテーブルにはオープンタイプの光学式エンコーダが採用されることがほとんどです。 

RESOLUTE の位置ジッタ (nm) と時間 (ms) の対比グラフ

RESOLUTE の位置ジッタ (nm) と時間 (ms) の対比グラフ

RESOLUTE の周期誤差 (nm) と位置 (µm) の対比グラフ

RESOLUTE の周期誤差 (nm) と位置 (µm) の対比グラフ

RESOLUTE は、幅広い種類の直径のロータリー(角度位置決め用)スケールに対応しているため、製品設計の自由度が増します。

SOLPOWER(台湾)

カスタム設計

現在の市場では、ローエンド工作機械向けの PC ベースコントローラが増加しているものの、ユーザーたちは一般的にブランドから得られる品質への安心感のほうを選ぶため、Fanuc、Siemens、Mitsubishi などの従来通りのコントローラがいまだに主流です。「加工の将来的な方向性は高速切削です。弊社のビジネスとしては顧客のニーズに合わせたロータリーテーブルソリューションの提供に力を入れますが、

そこで必要不可欠となるのが顧客が使用しているコントローラと直接インターフェースをとれることです。その点を踏まえてエンコーダを選定する必要があります。レニショーの RESOLUTE なら多くの一般的な BiSS(PC ベースコントローラの場合)や Fanuc、Mitsubishi、Panasonic、Siemens などの産業用シリアル通信プロトコルと互換性があります。また、幅広い種類の直径のロータリー(角度位置決め用)スケールに対応しているため、製品設計の自由度が増します。」(Peng 氏)

競争力の向上

SOLPOWER 社は、DD モータ分野での数十年にわたる経験と市場での立場を存分に活用し、競争の非常に激しい産業からのニーズに応えられる製品を継続的に開発しています。「弊社は費用対効果が極力高いロータリーテーブルを開発しました。つまり、設計から部品調達、生産まで一貫して厳しくコストを管理しているのです。レニショーは、主要なサプライヤーとして、弊社のコスト効率戦略の重要な役割を担っています。」(Peng 氏)

SOLPOWER 社の SDRT シリーズロータリーテーブルは、回転軸を 1 軸有しており、高トルク/高速応答性を兼ね備えたコンパクト設計となっています。SDRT ロータリーテーブルの設計に組み込んだ状態で、アブソリュートロータリーエンコーダ RESOLUTE RESA は、分解能 23bit、補正後の位置決め精度と繰り返し再現性は ±10arc 秒と ±4arc 秒、最高速度 200rev/min、IP67 準拠の保護性能といった、精密加工アプリケーションのほぼすべての要件を満たすスペックを備えています。

「このロータリーテーブルには限られたスペースしかないため、特にエンコーダのリードヘッドは小さいものである必要がありました。なぜなら、取り付けのし易さというのも、重要な検討要素の 1 つですから。

レニショーのロータリーエンコーダは、独自の特許まで取得したテーパー固定式に対応しているため、取付誤差が減り、また弊社内での組立時間の効率が高まります。レニショーのサポートエンジニアがトレーニングをしてくれたおかげで、弊社スタッフはスケールの取り付けができるようになりました。」(Peng 氏)

RESOLUTE と RESA のアイコン

品質の検証

競争の激しい市場における製品販売戦略も重要ではありますが、最終分析の鍵になるのは製品自体の品質です。「工場から出荷する前に、弊社の SDRT ロータリーテーブルはすべて厳しい品質検査を受けます。現状、レニショー製の ±1arc 秒という測定精度を持つ回転軸割り出し角度測定装置 XR20-W と レーザー測定システム XL-80 を使っています。レニショー製のキャリブレーション装置は、測定業界では国際的に高評価を得ており、弊社の顧客に対して大きな安心感を与えてくれます。」(Peng 氏)

レニショーは、品質管理システムに対して最新の ISO9001 の認証を受けておりまた定期的に監査も受けており、設計と製造のあらゆる面を最高水準にて維持しています。全レニショーシステムは工場出荷時にキャリブレーションされており、トレーサブルな認証とともに納品されます。

レニショー製 XL-80 レーザー測定システム(手前)と XR20-W 回転軸割り出し角度測定装置(上の写真と同じ)

レニショー製 XL-80 レーザー測定システム(手前)と XR20-W 回転軸割り出し角度測定装置(上の写真と同じ)

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  • ケーススタディ:  SOLPOWER 社製ロータリーテーブルを支えるエンコーダ RESOLUTE™