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ガーディアン – シンプルで信頼性の高いコンパクトなテクノロジーにより人命を守る

SF 作家のアイザック・アシモフは、ロボット工学の三原則の第一条として「ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」としました。1942 年の執筆段階で、アシモフは楽観的にもこのロボットに人間と同じ意識があるものと想定しました。現在も、彼が思い描いた未来の人類の機械奴隷というビジョンは実現していませんが、ロボットは、問題につながる可能性を秘める自己の認識を持つことなく、毎日人命の保護と救出に役立っています。

ドーセット州プールに拠点を置くエンジニアリング企業、AB Precision(ABP)は、正確性と習慣のために、「ガーディアン」をロボットではなく車両と呼んでいますが(MROV - 小型遠隔操作車両と同様)、この四輪無限軌道の連結式車両は、優れた機敏性と操作性を誇ります。ガーディアンに内蔵された 10 台の RLS 非接触式エンコーダのネットワークは、絶対位置決めフィードバックを CPU に送信します。オペレーターは、遠隔操作により危険性のある場所から安全な距離を保ちながら、ローテーション式のグラフィック表示で状況を確認することができます。さらに、ガーディアンに搭載された 4 台のビデオカメラの映像を併せて確認することで、実際には見えないような場所や限られた空間でもガーディアンを操作できます。

ABP の EOD (爆発物処理)プロジェクトマネージャーの Cindy Barfoot 氏は次のように説明します。「車両には、いくつかの可動部が搭載されており、ベースは回転が可能です。さらにメインアームの上下や伸縮、パンとチルト、カメラと搭載武器のチルトが可能で、カメラと搭載武器は別々に移動できます。」ガーディアンは階段を上ったり、車両の下や内側にアクセスしたり、爪先立ちのようにして 2.6 メートルの高さに到達することができます。双方向のオーディオ機能、牽引制御を備え、幅が狭いため、飛行機や電車の通路を移動することもできます。

エンコーダにより空間認識能力を実現

これに搭載された RLS ロータリーエンコーダは、アームとトラックメカニズムのすべての連結コンポーネントの位置を検出して、そのデータをベースステーションコントロールに継続的に無線送信します。車両の 2 つのパーツの衝突を事前に検知した場合には、ABP の専有ソフトウェアがそれ以上の動きを停止します。ガーディアンには、内省の能力がないかも知れませんが、RLS エンコーダにより、電子機械システムの中でも最高レベルの空間認識能力を備えています。ガーディアンプロジェクトエンジニアの Nigel Peter 氏は、RLS コンポーネントの採用を決定した人物です。

「車両の角度位置検出は、RLS の AM512 磁気式センサーで実現しています。さらに、RMB20 高速磁気式ロータリーエンコーダも使用していますが、モジュラー形式のため、非常に簡単に統合することができます。」

すべての RLS エンコーダは、小型であるため、スペースが限られている場合にも使用することができるだけでなく、堅牢性と信頼性が高く、シンプルです。この点は、過酷な侵食環境に使用できる車両を設計する上で重要な要因です。

Peter 氏は、さらに次のように続けます。「RLS エンコーダは、当社のデータ収集 PIC とのインターフェースが非常に簡単であるだけでなく、非接触式であるため、360 度の移動過程を通じて中断することなくフィードバックが得られます。AM512 センサーはコントローラの PCB に直接取り付けているため、配線が必要なく、コストを削減して信頼性を向上できます。」

エンコーダ - AB Precision - 車のチェック

ウォータージェットや X 線などの様々なツール

その結果、フルビジョンを持つ遠隔操作の「インテリジェント」な手足が得られ、アプリケーションに応じて様々なツールを搭載して使用することができます。爆発物処理のような状況では、破壊器(別名「武器」)を装備しており、高圧水をジェット噴射して爆発物を無効化することができます。

「ウォータージェットを使用して爆発物を制御する回路を無効化することにより、科学捜査のための証拠を破壊することなく、安全性を確保することができます。1 台の車両には最大 4 個の破壊器などの武器を取り付けることができます。核兵器、生物兵器、化学兵器に使用する場合は、破壊器の代わりに処理装置やセンサーを使用できます。」

この新型 MROV は、同社が初めてサイクロップスと呼ばれる車両を開発して以来、蓄積してきた知識を結集したものになっています。ヨーロッパで過去 20 年間以上にわたって設計および開発されてきたほとんどすべての同様のロボットは、このサイクロップスがインスピレーションの源になっています。

「新しい車両は、すべて一から設計することを決めていました。」と、Peter 氏は説明します。ガーディアンは、サイクロップスだけでなく、他のどのような車両とも外見がまったく異なっています。しかし、そのクリーンなラインと高性能仕上げは、単に洗練されたデザイン以上の役割があり、有害環境、汚染環境、放射性環境で使用した場合には、短時間で簡単に除染を行うことができます。彼はさらに次のように続けます。「AB のスタッフの中には、かつて爆発物処理を専門にしていた人がいます。彼が多くの見識と経験を提供してくれたお陰で、有用な機能をできるだけ多く搭載した車両を設計することができました。さらに、必要に応じて設計をカスタマイズすることができます。たとえば、一部のオペレーターはバックパックに制御装置を取り付けることを望んでいます。」

アシモフは、そのファウンデーションシリーズの小説で、集団意識を持つ架空の惑星「ガイア」の哲学にロボット工学の第一法則を応用し、「ガイアは生き物に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、生き物に危害を及ぼしてはならない」としました。この文章のガイアを AB Precision に置き換えてみると、EOD 部門の中核的な価値観がわかります。その存在が多くの人命を保護することになるため、ガーディアンはこれらの価値観を体言化したものとして、非常に適した命名です。