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工作機械の設備台数を 80% アップするだけで、加工能力が 850% アップ!

目まぐるしく入れ替わる一般消費者向け量産品の、生産ラインおよびパッケージングシステムの供給において世界でトップクラスの、英ソーテック オートメーション(Sewtec Automation)社は、レニショープローブを装備した米ハース(HAAS)社製の工作機械5台の追加導入で、加工生産能力が飛躍的にアップし、作業のシフト体制も刷新することができました。

英ソォテック社、生産部担当マネジャー、エルシー氏 と 米ハース(HAAS)立形マシニングセンターで加工したパーツ
「2009年末の時点では、NC工作機械6台を所有しており、週あたり140時間の機械加工を行っていました」と同社社長、バーナード・ミーハン氏は説明されました。「それが、2010年7月になると、11台のNC工作機械を所有し、週あたりの加工能力は1180時間にアップしました」。米ハース(HAAS〉立形マシンニングセンター複数台の導入という大型投資には、ソーテック社は「HAAS WIPS(wireless intuitive probe system)」システムを全ての機械に装着するという新たなアプローチが含まれています。「機械は昼夜、稼動させなければなりませんので、全機にレニショーの主軸プローブと工具計測プローブを装備することにしました。これで得られるコスト低減の効果は直接、キャッシュフローの改善につながります」とミーハン氏は語ります。

ソーテック・オートメーション社が達成したことは、西洋諸国の企業ならどこでも目標として掲げる、ある専門分野で抜群の技術を持ち、どこにもまねの出来ない別格の商品とサービスを提供することです。長年に亘る経験を持ったエンジニアであり、また、数字にも鋭いミーハン氏はさらに続け、「我々が供給する生産設備は、英国内はもとより、中国、ロシア、ポーランド、オランダ、ベルギー、ブルガリアなど、世界中の生産工場に導入されています。クライアント企業の多くは、発展途上の市場への進出を推し進める国際企業であり、進出先の工場設備には、超一流の品質と信頼性を求められます。顧客からの需要が年々増加し、発注内容にも変化が現れてきたため、これに対応できる方式へと、加工パーツの生産方法の変革を決意したのです」と述べます。

先頭に立ってこの変革を推し進めたのが、生産部マネジャー、ジェリー・エルシー氏です。彼はこれを実行するために何をしなければならないか、明確なビジョンを持っていました。「ソーテックというのは、機械加工業者じゃないんです。顧客が我々に求めるのは完成品の品質なんです。そのためにどれぐらいの信頼性が必要か、どう組立てるか、どう現場に据付るか、といったことを考慮して設計するのです。パーツの機械加工だけで見れば、地元の機械加工業者が長年頑張ってくれていて、今も健闘していますし、この先もそれが続くと思います。ただ、受注事業が大規模になるに従い、どこでコスト削減できるかが明らかになっていましたので、それで、加工を内製する方向に舵を切ったのです」

以前、加工に 4 時間半要するパーツで、段取り/芯出しのために 1 時間半費やしていました。これは全くの時間のムダでした。今は、10 分以内で同じ芯出し作業が終了します。これだけで1時間20分、時間が短縮され、この分を実際の加工に回せるので即、増収・増益につながります。これと、新規導入の米ハース(HAAS)製工作機械の性能による実働時間の増加が相まって、追加設備は機械 5台だけなのですが、実加工時間を 8.5倍に増加させることができました」

Sewtec Automation (イギリス)

DFM(Design for Manufacturing)生産方式とバリューエンジニアリング

自分たちが内製しようとするパーツの設計に関する深い知識により、ソーテック社のエンジニア達は、パーツ形状を加工する方法に応じて工作機械の機能を適合させることができます。ここでの重要なポイントは、バリューエンジニアリングです。パーツの基本的機能を損なうことなく生産方式に改革を加えてコスト低減を図る、一つの系統だった方式のことを言います。バリューエンジニアリングを目指す際にそれを推し進める過程で、エンジニア達が方向性を見失わないようにするための、設計の再考/見直しが極めて重要になります。

エンジニア達は、複数パーツの同時加工と加工の「一発仕上げ」を理想/ゴールに、加工工数をできるだけ減らすように工程を調整・修正します。どちらを達成するにもレニショーの主軸装着型タッチプローブからのフィードバックが必要になります。このフィードバックデータがあれば、機械の原点移動機能が使用でき、ワーク設置後に前加工形状に相対した加工ができるようになります。

その良い例が「穴付きロッド」パーツで、同じ機械と冶具で、全工程を3工程で完成するように再設計しました。金属素材は大まかに冶具にセットして、そのあとでレニショーの主軸装着プローブにより、素材の位置を正確に計測し、パーツのオフセットを補正します。この補正されたパーツオフセットを基に、切削加工プログラムが実行されます。この加工が終了すると、オペレータは次の冶具上にパーツを移し、次の加工面が上を向くように回転させます。プローブは、前回加工した形状の位置を計測して、再度パーツオフセットを補正します。ここでの計測を正確に実行しなけれなければ、パーツがすぐスクラップとなってしまうのです。が、プローブを使用するとほんの数秒で完了します。

ジェリー・エルシー氏が説明するように、「以前、加工に4時間半要するパーツで、段取り/芯出しのために1時間半費やしていました。これは全くの時間のムダ。今は、10 分以内で同じ芯出し作業が終了します。これだけで1時間20分、時間が短縮され、この分を実際の加工に回せるので即、増収・増益につながります。これと、新規導入の米ハース(HAAS)製工作機械の性能による実働時間の増加が相まって、追加設備は機械 5台だけなのですが、実加工時間を 8.5倍に増加させることができました」

ハース社の技術に投資

ジェリー・エルシー氏は続けます、「15年前、我々が初めて購入した工作機械は、英Bridgeport社のひざ型フライス盤 2台でした。その後、主軸プローブと工具計測プローブが装備されたBridgeport社の立型マシニングセンターを導入しました。このとき、他社メーカーの工作機械を多数調査し、その中で抜きん出ていたのが、ハース社の工作機械でした」。ソーテック社に現在ある11台の工作機械中、米ハース社製工作機械が9台、機種の内訳はVF2、VF3、VF4 、それに超大型パーツの加工に使用する VF9を揃えています。「ハース社の機械を使うようになって2年か3年になりますが、信頼性とアフターサービスでは申し分なし、と言うしかないですね」とエルシー氏は語っています。

加工生産ラインの無人化へ

ソーテック社は、可能‘な限り無人化が進んだ生産ラインの構築を目指し、段取り工程をさらに洗練するための時間を投資と考えることにしました。オペレーター4名でその時々の生産計画に応じて機械 8~10台を稼動させる夜間生産シフトの基本骨格が構築されるなど、無人化へのゴールに向けて重要な進捗が見られています。レニショー主軸プローブと工具計測プローブが、これを達成する重要な要因となっています。

機械加工の作業要員は各種技能を身につけており、工作機械のプログラミング作業の75%が、加工現場で熟練プログラマー9名により行われます。自動化された加工工程でパーツが量産されているときに、このような高技能プログラマーを多数抱えることはムダとも思えますが、熟練者の囲い込みは非常に重要視されています。「一旦解雇してしまうと、必要になったときに簡単に見つからないのです、過去にそれで苦労しました。必要なのは、プログラマーが柔軟に作業できるようにすること、そして、従業員ひとりひとりが製品造りに深く関わっている、と感じられる環境を作ることなのです。経営者として、従業員にとって働きやすい職場環境としてソーテックを造りあげました。その代わりと言ってはなんですが、組合加入を従業員に強制しません」とジェリー・エルシー氏は述べます。

レニショー主軸プローブの使用で段取り・パーツ芯出し時間を劇的にカット

景気後退を好機に

従来からの多くの伝統的なエンジニアリング系企業の場合とは異なり、ソーテック社では景気後退による業績悪化が見られず、不況が他社の人員整理で解雇となった工作機械オペレータ3名を含め、優秀な人材を得る好機となりました。業績を伸ばし、企業規模が拡大していますが、同社は家族的な企業理念を維持しつづけています。常に変化する需要に対して臨機応変に対応するために、これは極めて重要なことです。

「機械加工ラインで確立したアプローチにより、ハイリスクビジネスとなりかねないCNC工作機械に関するリスクは今、極めて低くなっています。スクラップの発生をごく小量に抑える、効率良い、柔軟な生産システムにより、企業として、既存の顧客にも新規の顧客にもご満足いただけるソリューションを、いつでもお届けできる体制が出来上がっているのです」とバーナード・ミーハン氏は締めくくります。

~について英ソーテック

英ソーテック社はミシンメーカーとしてスコットランドで創立されました。しかし、繊維産業が衰退していくなかで、創立者のバーナード ミーハン氏は、一般消費物資の需要の増加に伴い、生産ライン用機械設備と梱包用機械の製作に将来を見出しました。1992年には従業員は14名でしたが、現在ではソーテック社の社員は65名になっています。その多くが熟練技術者、また、機械組立て作業者も機械の据え付け及び立ち上げ作業のため客先へ出向きます。ソーテックでは機械の設計から組立て、制御用ラダーのプログラム作成、据付、これらの作業全てを社員が行います。

90%近くの機械は、海外の、製菓、ビスケット、紅茶、その他の多様な製品の生産と包装・パッケージを行う顧客へと出荷されます。10年前は、一品ものの機械ばかりでしたが、現在、同じ機械を複数オーダーするケースも見られます。ある顧客から、特定の機械設備を47台という発注があり、これが同社史上最大の受注です。英国企業および国際企業は、生産拠点がどの国であれ、生産の機械設備が全て確実に、同一基準で製作されているという信頼を求めます。その要求を満たすソーテック社の機械設備は、中国、ロシア、ポーランド、オランダ、ベルギー及びブルガリアなど途上国、先進国を問わず世界各国の生産ラインに納入されています。

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